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茜は一体、何を知っていて何を気にしてるんだろう? 思考を巡らせてみたけど、思い当たる節はない。
敢えて言うなら昨日のメールや着拒の事も考えられるけど、それはバカ西を信用して……、つまりは私に激怒してやった事。本当の事を知らなければ、謝るなんて有り得ない。むしろ怒ってて当たり前のはずなんだが。
「茜が何を気にしてんのか知らねえけど、私は別に怒ってねえし、嫌いにもなってねえよ。だから気にすんな」
結果として私の口から出てきたのが、この言葉。
「私……、美咲の話何も聞かないで晃の話鵜呑みにして……。それで美咲に酷い事しちゃった。傷つけるような事いっぱい言っちゃった。美咲に確認もしないで」
茜は脱力するようにソファに腰を落とし、弱々しく言葉を紡ぐ。
やっと意味が分かった。だから茜はこんなに落ち込んでたんだ。
「気にしなくて良いよ。好きな奴の事信じんのは当たり前じゃん」
私は出来るだけ優しく、そして笑顔で答えた。
「うん……。本当ごめんね。美咲の話、聞かせてくれる?」
茜の目は、捨てられた子犬のような、哀しい目をしていた。
私はゆっくり頷いて、さっき唯に話した事と同じ内容を、今度は茜に話した。
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