波乱の幕開け

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 それは私に対する嫉妬心なんかじゃなくて、ああいう行為自体を楽しむ為の適当な理由付け。  仮に香奈が本当に秀人に一目惚れしたとしても、それは単なるきっかけであって、あそこまでやる理由にはなんねえ。  要するに一番可能性が高いのは単純にストレス解消って奴だ。  はあ。先が思いやられるな。  そんな事を思いながら、簡単に身体を洗って風呂から上がる。  脱衣所で身体を拭いて脱ぎ捨てた服を洗濯機に放り込み、開始ボタンを押す。  そして洗濯機の横にあるプラスチック製のタンスから下着とバスローブを取り出して羽織り、キッチンに向かった。  洗い終わったコップを一度ゆすいで、冷蔵庫の前で麦茶を飲みながらボーッとリビングを眺めていると、ここ数日ずっと一緒に居た秀人が居ない事を実感し、無性に寂しくなる。  でも今日会う訳にはいかない。  それに勘の良い秀人の事だ。たとえ傷が見えなくても、絶対なんか気付かれる。  むしろあんな事があった後で会う気力がないってのもあるけど。  それより秀人、バイト中に何があったんだろ。  バイト後の秀人の様子を思い出して、何故だか息が詰まりそうになる。  私はそれを抑えつけるように一気に麦茶を飲み干してシンクにコップを置き、髪を乾かす為に再び風呂場に向かった。
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