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秀人達を見ると、二人はほぼ互角。
――にしても動きが速えな。ガキの頃じゃれ合ってた時は、秀人の奴、私に勝てなかったのにな。
懐かしい光景が頭を過ぎって注意散漫になってる時に、ふと立川と目が合った。
立川はこっちを見て何か叫んでいる。秀人も立川の視線を追って私の方を見た。
秀人が指を差して何かを叫びかけた時、肩甲骨周辺に物凄い衝撃を受けて前方に飛ばされた。
身体を打ち付ける前に咄嗟に受け身を取る。
受けた衝撃から考えて、恐らく蹴りを入れてきたんだろう。
「バカ西、てめえ」
こいつ、マジで狡い(こすい)真似しか出来ねえんだな。救えねえよ。
私が睨みつけるとバカ西は私の脇腹を蹴りながら叫んだ。
「どんな手を使っても勝ちゃ良いんだよ、勝ちゃよぉ。俺が、男にならまだしも女に負けたら終わっちまうんだよ!」
更に蹴りを入れてくる。
終わっちまうって何が終わんだよ。つか、こいつ。普通にやったら私に負けるって認めてねえか?
まあ、んな事はどっちでも良いや。こいつはもう許さねえ。その気があんなら徹底的にやってやんよ。
「てめえの蹴りなんざ効かねえんだよ。つか女に負けたら何が終わんだよ。女ナメてんのか。だったら終わらしてやんよ」
ゆっくり立ち上がりながら反撃の体勢を取った。
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