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「女だからって容赦しねえぞ」
バカ西は右足を振り上げて蹴りの体勢に入る。
「はいはい」
私は咄嗟に左手で払い除けて、軸足目掛けて蹴りを入れた。
私の蹴りは左膝の辺りにヒットし、バカ西は体勢を崩して尻餅をつく。そのまま私の方を見ないで立ち上がり、ばつが悪そうに頭を掻いている。ごまかしてるつもりだろうか。
つか、それより何だ今の? まさか本気じゃねえよな?
「さすがに今のは手加減してくれたんだよな? こっちはマジでいくけど良いよな?」
思わず確認を入れる私。
「ったりめえだろ!」
バカ西は無駄にデカイ声を張り上げて睨んでくる。
「お前も本気で来んだよな?」
「ああ」
返事が聞こえると同時に、ローキックを繰り出した。
バカ西は避ける事もせず、まともに喰らって再び体勢を崩す。そこへ私は思い切り右足を上げて左頬を蹴った。
まともに蹴りを喰らってんのに一瞬嬉しそうな顔をして倒れ込むバカ西。
うわっ、こいつキモい。Mか?
あっ、そういや今、制服着てっからスカートなんだよな。後で秀人に怒られっかな。
――って、何でここで秀人の事を考えてんだよ、私は。
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