波乱の幕開け2

8/25

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
 我に返ってバカ西を見ると、こっちに背を向ける形でまだ痛そうに身悶えている。 「てめえ、いつまでも痛え振りしてんじゃねえよ。さっきの威勢はどうしたんだ?」  まだまだこんなもんじゃ許せねえ。茜を傷つけた罪は、こんなに軽くねえよ。  私は少し返答を待ったけど返ってこなかった。  様子を見に、ゆっくりと近づいて行く。  バカ西の顔を覗き込もうとした瞬間、突然反転して蹴りを入れてきた。 「ってえなぁ。汚ねえ真似しやがって。まっ、卑怯なお前らしい攻撃だけどな」  言いながら私はバカ西の横っ腹を思い切り蹴りつける。  変な呻き声を上げながら一回転したバカ西を追いかけていき、髪の毛を引っ張って強引に立ち上がらせた。  私は後頭部を押さえ付けて前屈みにさせ、膝蹴りを腹に五、六発喰らわせる。  バカ西はそのまま前に倒れ込んだ。 「まだだよ。早く立てよ」  こいつ、ショボいとは思ってたけど、ここまでとは。いや、さすがにそれはねえか。  となると何かの作戦か? やられたフリして、仕掛ける隙を狙ってんのか?  さっきの事もあるし、警戒しとかねえとな。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加