光と影

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 珍しく私の方が先に用意出来ている事に驚いていたけど、秀人も既に準備完了していたから、待つ事もなくすぐに出発した。  雨は傘を差すか悩む程の小降りだったけど、今からバイトに行くのに濡れてちゃダメだろ、と思って傘を広げた。  雨の日独特の臭いが鼻につく。しかしそれは数分と経たないうちに感じなくなった。嗅覚が臭いに慣れてしまったのだろう。  バイト先に到着すると、今日も店長は喫煙コーナーに居て、永田さんは椅子に座ってコーヒーを飲んでいる。  香奈の姿は見当たらないが、まだ来てないだけだろうか? 「おはようございます」  私と秀人の声が重なった。  永田さんがすぐに返事をしてくれたのに対して、店長は一瞬間をおいてから口を開く。 「二人とも、おはよ。みんな揃ったから報告だけど、香奈ちゃん当分休むってさ」  店長は煙草の火を消して次の煙草に火をつけた。 「あら。当分休むって何かあったの? 日曜も三日前の祝日も休んでたわよね」  永田さんは即座に聞き返す。 「さあ。詳しくは聞いてないから分かんない」  店長がお茶を濁したような返事をすると、永田さんは不思議そうに首を傾げて再び口を開く。
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