光と影

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 音のした方を向くと、間仕切りから秀人がヒョコッと顔を出してきた。 「秀人。起きてたのか」  無意識に口元が緩んで笑顔になる私。 「いや、今起きたとこ。いつも夜中に目が覚めた時はベランダに煙草吸いに来てんだよ。ちょうど美咲の部屋のベランダが開く音したから、顔出してみた」  秀人は微かに微笑んだ後、手に持っていた煙草に火をつけた。  何気ない仕草に思わず見とれている自分に気付いて、私は慌てて視線を移動させる。なんか最近の私、マジで意識しすぎだな。  秀人はそんな私を気にする様子もなく、言葉を続ける。 「つか、もうゴールデンウイークだな。確か美咲も休み全部バイト入れてもらったんだよな? あの店ってゴールデンウイーク忙しいのか?」  うまそうに煙を吐き出すと、こちらを覗き込んできた。  今の心理状態でマジマジ見られると焦るんだけど。 「いや、昼間はそこそこだけど、夜はいつもより暇らしいよ。やっぱ遊びに行ってるか里帰りして家でまったりしてる人の方が多いんじゃね?」  平静を装って返事をし、深呼吸するように煙草を思いっきり吸い込んでゆっくりと吐き出し気分を落ち着かせる。
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