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「いただきまーす」
三人揃って食べ始めたのは良いが、三人ともサンドウィッチなどの軽食で、雑談しながら食べていたら、全員すぐに食べ終わってしまった。
「ご馳走さま。ちょっと洗いもんしてくる」
私は忘れないうちに弁当箱を洗っておこうと席を立つ。
「あっ、私も……」
唯が気付いて追いかけてきた。
私は「良いよ、唯。座ってな」と言ったのだが、やはり気になるらしく、流しの横までついて来た。
「ごめんね。私の分まで」
唯は申し訳なさそうに謝ってくる。そしてふと思い付いたように言葉を続けた。
「ところで美咲ちゃん。一人暮らしする事、どうやって許可もらったの? よく許してもらえたね。うち厳しくてさ」
唯は苦笑して頭を掻いている。
「あっ、いや……。許してもらえた訳じゃないんだけどさ」
まさかこのタイミングで唯がこんな事を聞いてくるとは思わず、返事に困る私。
「えっ? じゃあ強引に出てきたの?」
唯は驚いたように目を見開いている。
「そういう訳でもなくて……」
「えっと、どういう事?」
唯は更に食い下がる。
「まっ、色々とあってさ」
苦し紛れにごまかしてみても、唯の好奇心は止まらない。酒が入っているせいもあるだろう。
「色々?」
唯は不思議そうに首を傾げる。
私は観念して話す事にした。
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