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すると、太った女は膝をついて腹を押さえ、その場にうずくまった。見た感じ、とりあえず一丁上がりだな。
「まだやる?」
私はしゃがみ込んでいる方の女に問い掛ける。
「勝った気でいないでね」
女は立ち上がると、若干キレ気味に笑った。
「はあ。じゃあやるか」
思わずため息をついてしまう私。
女は軽く助走をつけてから、顔を目掛けて飛び蹴りをしてきた。
私はそれを避けると、バランスを崩してよろめく女の後頭部に蹴りを入れる。
女は頭を抱えて膝をついた。
私は女の胸辺りに蹴りを入れ、後ろに倒れ込んだ女の腹に勢いよく座り込んで、馬乗りの状態になる。
つか、もうこれ以上やる気ねえんだけどな。
そう思いながらも、一応パンチするような素振りを見せて、もう一度話しかけた。
「なあ、まだやんの? もうこれ以上やっても無駄だって分かるっしょ?」
今度こそNOという返答を期待して聞く。そもそもある程度の実力差がある相手にこの体勢取られて続行と言う奴は少ないだろう。好きなだけ殴って下さいと言ってるようなもんだかんな。
「もうギブ。あんた強いねえ。ここまで力の差があるとは思わなかったよ」
女はフッと笑って答える。やっぱこいつは憎めないっつーか、素直な奴だな。
「ハハ。褒め言葉として受けとっておくよ」
私は苦笑しながら女の上から降りた。
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