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「はあ。まだ納得出来ねえけど」
私はため息をついて男から下りる。
「とりあえず秀人んとこ行くか」
私の胸中を察してか、大樹は私の頭に軽く手を添えた。
秀人の手とは違うけど、何となく心が落ち着く。
「ああ」
私は一言だけ返して頷いた。
「鏡司。わりぃけど俺らちょっと寄りてえとこあんだよ。お前どうする?」
大樹が鏡司に確認する。
普通なら秀人があんな状態なんだから連れてくのもどうかと思うけど。でも、報告と謝罪の為に、電話じゃなくてわざわざ出向いてくれたツレを無下に帰す事も出来ねえんだろう。
「あっ、俺も行って良い? 待ってんの暇だし。それに話もまだ途中なんだよな」
当然そんな事を知らない鏡司はついて行くと言う。
「良いけど、あいつ怪我人だからあんま騒ぐなよ」
大樹は返事しながら私に確認するような視線を送った。
「良いんじゃね?」
私が駄目と言う訳にもいかず、曖昧な言葉を返す。
「あいつって? 誰か怪我してんの?」
状況を把握出来ていない鏡司がキョトンとした顔で聞き返した。
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