その先に見えるもの2

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「はあ。美咲さ、今日もし鏡司に会わなかったらどうなってたか分かるか? 今日はあんだけ離れてる時に来られたけど、近くに居たら怒鳴り声とかすりゃ、あの二人は気付いて振り返るだろ。そしたら巻き込む危険性が高くなる。心配なのは分かるけど、巻き込みたくねえなら逆に今日みてえな事はやめた方が良いって」  やっぱそうだよな。尤もな意見に返す言葉が見つからない。 「確かに今日みてえな事してた方が巻き込む危険性があるよな」  心配だけど見てない方が安全なら、その方が良いのかな。 「それに俺らやる前にあの二人を襲う可能性は低いだろ。俺らやった後の方が、やりたい放題出来るからな。だから俺らがやられなきゃ大丈夫だよ」  大樹は私を安心させるように、頭をポンポンと軽く叩いた。  秀人も同じような事を言っていた。次、狙うなら私か大樹だろうって。ならやっぱ、今日みてえな事もやめた方が良いよな。 「ありがとな」  私は大樹の気遣いに、素直に感謝の言葉を述べる。  実際、不安が消えた訳ではないが、巻き込む危険性が低い方を選びたい。心配する余りに逆に巻き込んじまったんじゃ目も当てらんねえ。
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