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「なあ、その中西って奴は、そんなに色んな奴を狙ってんのか?」
不意に鏡司が単車から少し大きめの声で質問を投げ掛けてくる。
「ああ。私の周りに居る奴はみんな標的にしてえらしいよ」
私は電話でのバカ西の台詞や、秀人から聞いた話を思い出した。
「へえ。んじゃこれで俺も狙われっかな?」
何故か嬉しそうに話す鏡司に、大樹が即座に突っ込む。
「中西はおめえの事、知らねえんだから無理だろ」
自分の横を、歩くペースに合わせて徐行する鏡司を見て呆れ顔で答える大樹。
「そういやそだな。俺の事も狙ってくれりゃ、当分は退屈しねえで済むと思ったのにな。今から戻ってあいつらに俺の名前覚えさせて来ようかな」
つまらなさそうに言う鏡司に、大樹は再び突っ込む。
「お前バカだろ。自分の立場、分かってんのか? お前の名前知ってる奴が、そう簡単にお前の事、狙う訳ねえだろ」
大樹はさっきより更に呆れた顔をしている。
「はあ。そうかな。まっ良いや。お前らと居りゃ退屈しなさそうだし」
一瞬しょぼんとしたように見えた鏡司だが、すぐに瞳を輝かせて言った。
いやいや、お前らと居りゃってどんだけ一緒に居るつもりだよ? 本当これ以上巻き込みたくねえから、マジ勘弁して欲しいんだけど。
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