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大樹は「ったく。しょうがねえな」と言いながら靴を履き変えている。
私も靴を履き変えて、茜たちを見失わないように急いで歩き出した。
外は相変わらずの天気で、直射日光を浴びた肌が悲鳴を上げそうな程の暑さである。
そんな中ペースを落とす訳にもいかず、足早に二人の後を追う私たち。
程なくして校門を出た。
校門を出てすぐ左に曲がり、少し歩いた先に、見覚えのある単車が一台停まっていた。
「あれ? 鏡司?」
大樹が私にも聞こえるか聞こえないか際どい程のボリュームで呟く。
あれは確か、金曜日に居た単車の人だ。
メットをミラーにかけて退屈そうに煙草を吹かしている事から、偶然ここに居るのではなく、待っていたように見える。
前回は嵐のように去って行ったから、あまりまじまじ見る事もなかったが、改めて見ると澄み切った空のようなスカイブルーの髪が凄え綺麗だった。
「おう、大樹。待ってたんだよ。こないだの事だけどよ、あいつらから話聞いたら、どうやら中西って奴が裏で糸引いてるみてえだな」
鏡司と呼ばれた男は、大樹に気付くと真剣な表情で話し始める。
声のボリュームはそんなにデカくはないが、私は茜たちが気付いて振り返らないかヒヤヒヤしていた。
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