1人が本棚に入れています
本棚に追加
ひとまず私は大樹と二人で歩き始める。
ちょうど五人組の横を通過しかけた時、白メッシュの男が行く手を遮った。
「はい、そこの二人。止まりなさい」
白メッシュは睨みをきかせながら話しかけてくる。
その瞬間、鏡司が単車で追いついてきた。
「なあ、何こんな怖そうな人達に声かけられてんだよ? 無視して行った方が良いって。行こ行こ」
若干、笑いを噛み殺しながら話す鏡司の話し方は棒読みでわざとらしい。
「何だてめえ? くだらねえ事、言ってねえで、てめえもおとなしくついて来い」
金髪のロン毛は鏡司に視線を移して怒鳴った。
「あっ、俺らちょっと忙しいんで他の人にして下さい。じゃ、行こうか」
大樹も鏡司と同じようなわざとらしい棒読みの口調で話す。こいつら、明らかに相手の反応を楽しんでるよな。
「だな。行こ行こ」
鏡司は再び行こうと言って帰る素振りを見せた。
「優しく言ってるうちについて来といた方が良いよ?」
白メッシュがわざと物静かな雰囲気を醸し出して言う。それを聞いた大樹が笑いながら何か言おうとした時、金髪が先に口を開く。
「昨日の赤い髪みてえにおとなしくついて来りゃ良いんだよ」
再び金髪が怒鳴った。つか今、何つった? 昨日の赤い髪って秀人の事だよな。んじゃこいつらが秀人を?
最初のコメントを投稿しよう!