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「てめえら、ちょっとついて来いや」
気付いたら口走っていた。こいつらぜってえ許さねえ。
「何いきなりやる気だしちゃってんの」
既に歩き始めた私の後ろで、相手の奴らが何か言っている。
「何でてめえが仕切ってんだよ」
更に別の奴も口を開いた。振り返って見てみると、五人ともぶつぶつ言っているだけで動こうとしていない。
「ぐだぐだ言ってねえで、とっととついて来いや、こらぁ」
怒り任せに怒鳴りつけると、渋々といった様子で動き出した。
後ろからは「何か俺らが仕掛けてんのに、逆じゃね?」とか何とか、まだぐだぐだ言ってんのが聞こえてくる。
「あーあー。こいつら、一番怒らせちゃいけねえ人を怒らせちまったみてえだな。俺、キレるタイミング逃したし」
今度は大樹の呑気な声がした。
「この子ってキレたら凄えの?」
鏡司の声は何故か楽しそうである。
「凄えなんてもんじゃねえよ。まあ見てりゃ分かるって」
また大樹が誇張して話しているが、今の私は気にならなかった。とにかく私は、突然現れた秀人の仇を全滅させる事しか頭にない。
「それはそれで面白そうだな。いやぁ、今日来て良かったわ」
鏡司は相変わらずの楽しそうな口調で返事をしていた。
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