その先に見えるもの2

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 秀人だったら、こんな奴らにやられねえのに。秀人が本気を出せば、こんな奴ら一瞬にして捻り潰せるのに。  なのに秀人は、黙って耐えていた。あんな状態になってまで。私の為に。私に分からせる為だけに。屈辱だっただろうな。  私なんかが想像も出来ない程、辛かっただろう。  こいつら、バカ西にどうやって頼まれて動いてんだか知らねえけど、こんな易々と請け負った事、後悔させてやんよ。  秀人が負った傷、受けた痛み、万倍にして返してやる。  そんな事を考えていると自然に今まで以上に力が入り、私は我を失って誰かれ構わず思い切り殴り続けた。  それからどのくらいの時が過ぎただろうか? 不意に後ろから誰かに腕を掴まれた。 「美咲。その辺にしとけや。殺す気か?」  声からすると私の腕を掴んでいるのは大樹。 「離せよ。まだこんなもんじゃ済まさねえ」  私は大樹の手を振りほどこうとしたが、更に握る力を強められて振りほどけない。 「そんだけやりゃ充分だろ」  大樹に再度促されて、やっと我に返った私は、周りを見渡した。  五人とも血まみれで地面に這いつくばっている。  私の下にも一人いた。鼻からも口からも血を流していて、顔面血だらけ。元の顔をそんなに知っている訳でもないが、それでも原形を留めていないのが分かる。
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