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秀人だったら、こんな奴らにやられねえのに。秀人が本気を出せば、こんな奴ら一瞬にして捻り潰せるのに。
なのに秀人は、黙って耐えていた。あんな状態になってまで。私の為に。私に分からせる為だけに。屈辱だっただろうな。
私なんかが想像も出来ない程、辛かっただろう。
こいつら、バカ西にどうやって頼まれて動いてんだか知らねえけど、こんな易々と請け負った事、後悔させてやんよ。
秀人が負った傷、受けた痛み、万倍にして返してやる。
そんな事を考えていると自然に今まで以上に力が入り、私は我を失って誰かれ構わず思い切り殴り続けた。
それからどのくらいの時が過ぎただろうか? 不意に後ろから誰かに腕を掴まれた。
「美咲。その辺にしとけや。殺す気か?」
声からすると私の腕を掴んでいるのは大樹。
「離せよ。まだこんなもんじゃ済まさねえ」
私は大樹の手を振りほどこうとしたが、更に握る力を強められて振りほどけない。
「そんだけやりゃ充分だろ」
大樹に再度促されて、やっと我に返った私は、周りを見渡した。
五人とも血まみれで地面に這いつくばっている。
私の下にも一人いた。鼻からも口からも血を流していて、顔面血だらけ。元の顔をそんなに知っている訳でもないが、それでも原形を留めていないのが分かる。
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