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休憩室に入った私は、もはや顔なじみとなった夜のバイト数名に挨拶を交わして自分のロッカーに向かう。
ロッカーに鞄を押し込み、煙草を持って喫煙コーナーに向かうと店長に話し掛けられた。
「おはよ、美咲ちゃん。秀人くん何かあったの?」
店長は私の顔を窺うように覗き込んでくる。
「おはようございます。詳しい事は聞いてないけど、家の方で何かあったみたいですよ。突然で申し訳ないって、みんなに謝っといてくれって言ってました」
秀人が何て伝えたのか詳しく分からなかったから、本当に聞いたところのみを伝えた。
「そっかぁ。夫婦喧嘩でもしたのかと思ったけど、そうじゃないみたいだから安心したわ。一昨日、秀人くんが遅刻してきた時、二人とも仕事の話以外は喋らなかったでしょ? 心配してたんだから」
何気に夫婦喧嘩とか言ってる店長。
「夫婦でもなけりゃ付き合ってもいませんから! さりげなく大ボケかまさないで下さい」
私は続きに「ただの腐れ縁ですから」と言いかけて飲み込んだ。
それは、ただの腐れ縁では終わりたくないという気持ちの表れだったのかもしれない。
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