2人が本棚に入れています
本棚に追加
確かに二人ともやられる事を考えたら、大樹の選択の方が正しいのかもしれない。でも私は、二人とも助かる可能性がある方に賭けたい。
無謀かもしれないけど、初めからどっちか一人が犠牲になる方法を選ぶなんて、絶対にしたら駄目だ。
「お前ら、ぐだぐだ言ってねえでとっとと行くぞ」
大樹が答える前に、後ろから痺れを切らしたような怒鳴り声が聞こえてくる。
「大樹、行くぞ。言っとくけど、やられに行くつもりはねえから。お前が本気でやんなきゃ、勝てるもんも勝てなくなんだからな。頼むよ、マジで」
私は二人してやられる気はない事を強調して言った。
そうだよ。秀人が何のために犠牲になったのか。もうこれ以上誰かが犠牲になるなんて駄目だ。それが大樹だろうと私だろうと。
秀人、ごめん。私の選択は間違ってるかもしんねえけど、諦めるつもりはねえから。ただでやられる気もねえし、黙って大樹をやらせるような真似もしねえから。
行ってくんよ。
「美咲、お前さ。意味分かって言ってんのか? 何人相手にする気だよ。それに俺も、やられる気で行く訳じゃねえから。安心して先に帰れ」
大樹は私を安心させるように微笑みかけている。
最初のコメントを投稿しよう!