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秀人とは、バカ西が一人じゃなけりゃ帰るって約束した。
でも今のこの状況じゃ、帰りようがない。全く想定外の状況。
行く、しかねえよな。秀人との約束は破る事になるけど。
この人数相手じゃ、ノーダメージどころか無事でいられる可能性は低いだろう。
バカ西は戦力外として、五人組の実力も分かるけど、残り六人は未知数だしな。
それでも行くしかない。どこまでいけるか分かんねえけど、ただでやられるつもりはねえかんな。
私は、水の入った灰皿に煙草を投げ捨てて、大樹に行こうというジェスチャーを取った。
しかし大樹は首を横に振って再度バカ西を見る。
「晃、行くのは良いけどよ。美咲はもう良いだろ?」
大樹はバカ西を真っすぐ見据えて問いかけた。
「なんだ、それ。美咲は良いって意味分かんねえよ。どうでもいいから、とりあえず来いよ。すぐそこに空き地あっから」
バカ西は鼻で笑って答えると、私たちの後ろに居る奴らに顎で指示を出す。
それを見た大樹は再度ため息をついて煙草を灰皿に投げ捨て、私に視線を戻した。
「美咲、お前はついて来んな。わりぃけど電車で帰ってくれ」
何を言い出すんだ、こいつは。大樹一人行かせて、帰れる訳ねえだろ。それに、どっちにしろバカ西や後ろに居る奴らが私だけ見逃す訳がない。
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