その先に見えるもの6

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 確かに初めから三人が優勢で始まったこの勝負。私の瞳に映ったのは、十一人が地面に倒れているところだった。  立ち上がっているのは、三人を除けば私とバカ西しか居ない。倒れている連中は、完全にダウンしていて微動だにしない。  仕切り直しをしてから、まだ五分も経ってねえと思うんだけど。  ぱっと見、秀人が相手した五人のやられっぷりが酷い。と言っても、大樹たちが相手した六人も充分痛々しいけど。  ちなみに秀人が三割増しだと言っていた短髪は、宣言通り、明らかに他の奴らより重傷だ。鼻からも口からも血が出ていて、ついでに瞼も切れてそっからも血が出ている。要するに顔中血だらけだ。服は泥だらけで、所々が擦り切れている。  傍らでは三人が「ぜってえ俺が一番だった」などと言い争っている。恐らく誰が酒代を出すかで揉めてんだろう。呑気な奴らだ。  三人がそんなやり取りをしていると、突然バカ西が叫び出した。 「お前ら十一人も居て、たった三人が倒せねえのかよ。なっさけねえなあ」  バカ西は侮辱するような目で倒れた十一人を見ている。  つか自分じゃ何も出来ねえくせに何言ってんだ、こいつ。しかも結果はどうあれ、自分の為に身体張って動いてくれた奴らに労い(ねぎらい)の言葉もなしかよ。とことん腐ってやがんな。  こいつは人を何だと思ってんだ?  などと考えていると、三人が言い争いをやめて一斉にバカ西の方を向いた。
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