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大樹によって強引に十一人の前に立たされたバカ西は、倒れている奴ら全員を見渡す。
「はいはい、お前ら俺のせいでやられちまって悪かったな。全然役に立ってねえけど、俺の為に動いてくれてありがとう」
凡そ謝っていない口ぶりと、悪びれた様子もない態度。
それらは三人を更にキレさせるには充分すぎる要素だった。
秀人はバカ西の髪を引っ張って自分の方に手繰り寄せると、腹に数発パンチを入れる。
「それ謝ってんのかバカにしてんのか……、マジふざけてんじゃねえぞ。んな事言うなら、人使ってねえでてめえで来いや」
秀人が言った直後、鏡司がバカ西の左肩辺りに蹴りを入れた。
バカ西はバランスを崩してよろめく。俯き加減で左肩を押さえているバカ西の目は、何となく寂しそうに見えた。
「本当、最低な奴だな。今から俺もおめえの敵だ。言っとくけど、俺は受け身じゃねえから、こっちから仕掛けさせてもらうよ。ちなみに俺、冬木って言うから。そっちからも来んなら、いつでも相手んなってやんよ。それとも今、ここでやるか? あっ、おめえは味方が居ねえと自分じゃ何も出来ねえんだっけか」
鏡司は言いながら仕上げの一撃という勢いでバカ西の左頬に蹴りを入れる。
バカ西は勢いよく地面に倒れ込んだ。
鏡司の言っている内容からは、今この場でどうこうする気はないように聞こえるけど、どっちにしろ相当キレているのが分かる。
なんとか立ち上がろうとするバカ西に向かって、再び秀人が口を開いた。
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