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「んじゃ、そういう訳だから、俺からヨロシク」
大樹も笑顔で私を見てきた。
いや、俺からっつーか、するなんて言ってねえじゃん。
「だから、するなんて言ってねえし。そもそも今日のMVPは秀人……って。いや、何でもない」
私は慌てて自分の口を塞ぐ。つか、恥ずかしくて秀人の顔が見れねえ。
だいたい、こいつらも秀人も、私とすんの嫌じゃねえのかな? 私がここでするっつったら、秀人は受け入れてくれんのかな?
するつもりはねえけど、微妙に気になるな。
「はあ。出たよ、これ」
鏡司はため息混じりに呟く。
「どうせ秀人選ぶと思ってたよ。だいたいお前らはいずれすんだから、今回は秀人選んじゃダメっしょ。ったく。まあ良いや。二人が盛り上がった時に、どうぞ好きなだけ堪能して下さいな」
大樹は吸い込んでいた煙草の煙を、上に向けて思い切り吐き出した。
「今ここでしても良いけどな」
鏡司は再びからかうような表情で私たちを見てくる。その後、遠い目をして付け加えた。
「つか、ぜってえ実際は俺が一番だったよな」
あくまでこだわんだな、こいつは。
「何なら俺がしてやろうか?」
大樹が悪戯に笑いながら鏡司の顔を覗き込むと、鏡司は「やんな、バカ」と言って苦笑していた。
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