その先に見えるもの7

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 バカ西が「ああ」と答えて建物の方に歩いて行くと、「すっげえ家だな」などと皆が口々に呟きながら後に続いた。  建物自体は三階建てのようで、玄関に入ると正面には豪華な螺旋階段があった。天井は二階までが吹き抜けになっていて、これまたデカいシャンデリアが見える。  そして左右に伸びる廊下には、突き当たりまで赤い絨毯が敷いてあり、何とも高級感が出ている。  建物内に入ってすぐ、二十歳そこそこの綺麗な女性に出迎えられた。お姉さんかな? 「お帰りなさいませ。お怪我……されているようですけど?」  女性がペコリと頭を下げると、艶のある黒髪がサラサラと肩から零れる。すぐに顔を上げた女性は心配そうな表情でバカ西と、私より後ろに居る十一人を見つめた。  どうやらお姉さんではなく、使用人のようだ。若干フリルのついたエプロンをしているだけで、服装は普段着だから、使用人だとは思わなかった。  というより、考えてもみれば普通はメイド服なんて着ていないのかもしれない。  どことなく茜と雰囲気が似ているのは気のせいだろうか。
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