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と言ってそれ以上の追及を止めた。御薬袋の父親は母親と息子のやり取りには一瞥もくれず、ずっと機械的にご飯と味噌汁を交互に口に入れていた。
御薬袋は食事を終えると、すぐに二階の自分の部屋へ行き、テキストやノートを机に並べた。そして、BGM代わりに椅子の背にあるテレビをつけて、集中力も散漫な受験勉強を始めた。
ペンを進めればすぐに頬杖をつき、テキストに目を通していれば、いつの間にか後ろを向いて瞳の焦点も合わさずテレビを視聴。受験勉強の仕方で言えば、予備校での学習姿勢の方が断然集中していた。一方、家での勉強になると極端にその学習意欲はなくなる。御薬袋の、所謂、宅勉は家庭というあまりにも痛烈なリアルが近すぎるので、どうにも勉強に気持ちが向けられなかった。御薬袋にとって予備校はある種の現実逃避の場であり、憩いの場とは言い過ぎだが、少なくとも家にいるよりは心地良く快適な勉強場所ではあった。
図書館で勉強する類いと変わらないが、ただでさえ辛辣な受験勉強をする分には、嫌々ながらもせめて身の回りの環境ぐらいは多少の快適さを御薬袋は求める。
その自分にとって環境の悪い実家での勉強中、やはり身に入る訳はなく、しばらく無意識状態のテレビ鑑賞が続く。
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