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そう言えば、昨日の牟田口とかいう人が殺された事件って、茂田の家の近くじゃなかったか?
そんな事を不意に思った瞬間、御薬袋の脳裏に妙な連想が浮かんだ。茂田という存在、反抗、手帖、メモ魔……一考すると何の関連性が乏しいワード。実際に御薬袋自身もそれらの言葉から具体的なイメージを喚起出来ない。
とりあえず予備校に着いたら、茂田に家の近くで殺人事件があっただろ? と話を振ってみるか。
御薬袋はそれ以上深く考える事なく、予備校まで歩を進める事にした。
予備校に到着した御薬袋。本日の受講は夜の六時からと遅め。基本的に時間に余裕をもって予備校に通っている御薬袋は、授業が始まるまで自習室で予習や復習をするスタイルをしている。家で勉強している以上に、予備校の自習室で机に向かっている方が、物覚え的にも精神衛生上的にも効率が良いからだ。そのやり方は茂田準も同じで、御薬袋とは受講コースが違っており、授業スケジュールも合わないものの、多々自習室では出会っている。やはり茂田も自習室で勉強していた。さすがに自習室では茂田もウォークマンをはずしている。ちょうど茂田の隣りの席も空いていたので、御薬袋は自然の流れで茂田の横に座り挨拶がてら小声で会話を始めた。
「おいっす」
「あ、先輩。お疲れっす」
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