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「なあ、その原チャって貰っても良いもんなのか?」
私は思わず口を挟む。
「良いよ。どうせ置いといても誰も使わねえまま廃車んなるか、会社の旅行ん時にゲームの景品として使うだけだし」
バカ西は煙草に火をつけながら頷いた。
マジで良いみてえだな。廃車にするなんて勿体な過ぎる。このまま一位取れたら貰ってこ。
実はさっきチーム戦優勝の賞品は全員統一でテレビにしようって話題が出た。そん時、テレビがゲット出来たらゲームが欲しいな、と思ってたけど、原チャが貰えるなら喉から手が出るほど欲しい。
「んじゃ、私はそれ貰ってこ。本当はゲーム本体とかあったら欲しかったんだけど、原チャの方が良いし」
私は高揚する気持ちを抑えつつ独り言のように呟く。
「そういや美咲、前から原チャ欲しがってたよな。んじゃ、もし俺が一位んなったら、原チャ貰ってお前にやるよ。まあ、賞品に俺の欲しいもんがなかったらだけど」
秀人が私を見てニッコリ微笑むと、ちょうど曲が流れ始めた。
返事をする間もなく、秀人は歌い始める。
仮に秀人が一位だったら、欲しいもんがなくても自分の好きなもんを貰って欲しいな、とか思いながら秀人の歌声に聴き惚れる私。
結果は97点で、なんと鏡司と並んで二位になった。
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