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そんな事を考えているうちに晋哉の曲が始まった。
晋哉は点数こそ88点と伸びなかったものの、実際は結構上手かった。これは二ターン目はもっといくんじゃねえか?
五人組からは白メッシュが出てきて85点という記録を出す。
つまり出だしはうちのチームの優勢で幕を開けた。
「んじゃ、とりあえず優勝に王手をかけときますか」
鏡司はニコニコと笑いながらマイクを持つ。
つか、個人戦かチーム戦かどっちの話をしてんのか分かんねえけど、まだ始まったばっかで王手をかけるのは難しいと思うぞ。
心の中で突っ込みつつ、鏡司の歌に聴き入る。
結局、歌い終わった後に表示された点数は93点だった。歌唱力も申し分ないし、マジでもっと上の点数が出る可能性はありそうだ。
点数を見た鏡司は「採点壊れてんじゃね?」と言っていた。もっと出ると思っていたんだろう。
「いきなり100点出すと後がつまんねえから、とりあえず99点狙いでいくか」
疾風も相変わらずの自信である。
こいつも口だけじゃなくて本当に上手いのか?
疑問に思いながら聴いていると、確かにそこそこ上手かったけど点数は89点だった。
「おめえ偉そうな事言っといて、おめえが一番足引っ張んじゃねえのか。ったく」
ピンク髪の男――悟が、思わずといった様子で疾風に突っ込みを入れる。
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