その先に見えるもの8

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 疾風は「おっかしいなあ」と言いながら頭を掻いていた。  そして二組目の最後は短髪の男が登場。  なんだか歌いづらそうだな、と思っていたら、よく考えるとこいつが一番酷い怪我なんだよな。恐らく口ん中が切れてんだろう、と納得した。  当然、点数も伸びずに71点。歌い終わった男も画面を見て苦笑している。  それから三組目に突入し、酒も進んで皆どんどんテンションが上がっていった。  ちなみにチーム戦は、各チームの上位三名の合計点を競うというもの。人数が多い為、三ターンで締め切ろうという事になっている。全員が一通り歌い終える頃には結構な差が開いていた。  この一ターン目終了時点、途中経過としては個人戦暫定トップが私。更にチーム戦も、バカ西を含めた全員が90越えで暫定トップ。  六人組は名前が分からない奴が92点を出した以外は全員80点代後半で、五人組は短髪を除いて80点代前半ばかりだった事により、暫定二位は六人組である。  尤も二ターン目以降で大きく変わる可能性はあるが。  そして二ターン目に突入しようかという時、初めに会った使用人の女性がバカ西の元に近寄ってきた。  バカ西は女性にお礼を言って下がらせると、皆の方に向き直って口を開く。 「あっ、なんか部屋の準備してくれたみてえだから、休みたい奴は言ってくれ。案内するからさ。まあ、まだ寝るには早えけど」  そう言われて、室内に置かれた時計で時間を確認すると二十二時を指していた。
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