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三人の突拍子もない話に気を取られていた私は、不意に名前を呼ばれて我に返る。
「――美咲、これお前が入れたんだよな。始まってんよ」
振り返ると秀人がスクリーンを指差しながらこっちを見ていた。
私は慌ててお礼を言ってマイクを持つ。ちょうどイントロが終わる寸前だったからマジでぎりぎりだったな。
こうして始まった二ターン目も、全体的に点数は上がったもののチーム戦に大きな変化は見られず、三ターン目に余程の事がない限り私たちの優勝が確定した。
個人戦では、なんと鏡司が97点を出した事により、一位タイと並ぶ結果になる。
マジでこんな点数を出してくるとは。油断出来ねえな。更に秀人や大樹も95点を出してるし、さっき92点を出した名前が分からない奴も94点を出してきた。
負けず嫌いな私は、ここで十八番を出す事にする。
「この曲で私の優勝が確定だな」
余裕をかました台詞とともにマイクを持つ私。
実際100点が出た事がある曲ではあるけど、今日何点出るかは分かんねえよな。
せっかく歌うんだから点数は気にしないで気持ち良く熱唱し、結果的には99点という高得点を出すことが出来た。
「ったく。狙ってんのか? 俺に100点出してくれって事だよな」
相変わらずの余裕っぷりで言ってのける鏡司。
本当に出しそうで際どいけど、この点なら悪くて二位は確定だろう。
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