unknown suicide

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 離婚の前後の時期には陽一の存在など忘れ去っていたかのような母親は、陽一が補導されて警察に呼び出されるような事態になると、その時ばかりは陽一を真正面から見据えて肩を強く掴んで揺さぶり、泣き崩れた。  陽一は膝をついて嗚咽する母親の涙を冷めた思いで見下ろしながら、一瞬だけでも自分の存在を確かめてもらえたような気分になり、そこに膨大な虚しさを覚えると同時に救いを見い出せたかのような心持ちにもなっていた。  思い出してほしくて、気にかけてもらいたくて、非行などの奇抜な行動に走るという未熟さや不毛さ。  まっとうな道を踏み外せば人ならざる者のように陽一たちを扱う世間への嫌悪感。  その圧倒的な虚しさに、時には消えてしまいたいという思いにとらわれながらも、陽一はもがき、道を模索していた。  そうした現状を変えたいという思いと、担任教師の粘り強い説得によってやがて進学を志すようになった陽一は、グループのメンバーとの交流を続ける一方で受験勉強に励んだ。そして第一志望の県立高校に辛くも合格し、4月からは電車通学で1時間半ほどかけて遠距離通学することになった。  自宅で真新しい高校の制服を試着してみせた陽一は、母親の嬉しそうな顔を見て、心の中でかたちのない何かが瓦解するのを感じた。  グループのメンバーたちも次第に進路と向き合い出し、中卒で働き出す者、進学する者、各々の方法で各々の未来に向かって舵を切った。  ──俺も皆も、いったい何に対して反抗していたのか。  それは結局わからないままで、陽一は壮絶な呆気なさと空虚感に苛まれた。
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