真冬

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そんな二人が蝶をきっかけに仲良くなり、学校で一緒にいたり話すようになると周囲は奇妙に思うようだった。真琴は友人達から私と話して大丈夫なのかと何度も聞かれていたようだが、一笑に付して私への態度を変える事はなかった。  私は真琴を好きになった。    何より私の能力について誰にも話さずにいてくれたのが、有り難かった。頼んでもいないのに何故秘密にしてくれたのかと問うたら「面倒なの嫌いでしょ?」と当てられてしまった。私は驚いて、真琴にも私と同じように思考が読めるのか聞くと「ない、ない、なんとなく」と笑っていた。  真琴曰わく、表情や仕草、思考パターン、話し方から等、ある程度相手の事は読めるらしい。私の能力ほど相手の考えている事がわかるわけではないとの事だった。    真琴は言葉と心がほぼ一致できる人柄で、私を常に穏やかな気持ちにしてくれた。 そして真琴は私に色々な事を、丁寧に説明しながら教えてくれた。  同世代の人間がどのように育ったのか?  普通の家庭はどんな生活をしているのか?  将来とは何か?  夢とは何か?  愛情とは何か?  友達とは何か?  真琴は私が質問するたびにケロッとして答え、真冬の興味は変わってるとコロコロ笑った。そして私と同世代の女の子の興味はもっぱら芸能人や好きな男の子、洋服のブランドなどに向いているものだと教えてくれた。 私は、私に興味を持つ真琴こそ珍しいと返して笑いあった。 私は真琴に期待した。  私以外の人間と良好な関係を保てる事に驚き、興奮した。まるでダイヤの原石でも探し当てたかのように、この先に素晴らしい未来があると期待しすぎたのだ。
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