真冬

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以前から何度も話しかけてきた声だ。私が悲しい時や落ち込んでいる時に聞こえてくる。負で黒いイメージが強く無視をしていたものだ。    母に捨てられ寒くて暗くて広いこの一軒家に残された私に、寄り添うものを拒む理由があるだろうか?    寂しくて寂しくて、縋りつけるものは何でもいいと思う私に何かを拒む事など。 (助けて……私を助けて……)  私は声の主に伝えた。  ジャア、イクヨ。 その日から、家の暗がりに何かが住み着いた。
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