真冬

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私は自ら望んだものの、とんでもないものを呼び寄せてしまったのではないだろうか、と恐怖した。  しかし、今の私に応えてくれるものはソレしかいない。もう、どうとでもなれという絶望しかない。    声の主に名前を聞いてみた。   「ジュンキチ」という名前だった。    私と話してくれる「ジュンキチ」が、「ジュンキチ」ともう一人いる「ソレ」はとても危険だと言った。   そして「ジュンキチ」は「ソレ」に襲われ取り込まれ、闇に潜む身体になってしまい、死ねないでいるらしい。  複雑だ。 「ジュンキチ」は苦しんでいた。私に呼ばれ、私の作り上げた闇の空間があるこの家に住み着くようになったが、私も「ソレ」に取り込まれるかもしれない事を危惧していた。    「ジュンキチ」の恐れていた通りになった。    「ジュンキチ」の意識が飛んだ時「ソレ」は天井裏を徘徊して小動物を食すようになり、流石に私も身の危険が迫ってきたのを感じとり「ソレ」が出られないよう闇を監視するようになった。そのせいで私の能力は弱ってしまった。    「ソレ」は常に肉を求めていた。   やはり私は、とんでもない生物を呼んでしまったようだ。
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