真冬

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後悔する一方で、私の中の狂気が……触手をのばしていた。    その生物自体の特性を考えると面白いと思う事もあり、この生物の特性と、私の持っている能力を合わせたらかなり面白い事が出来るのではないか?たとえそれが人を滅ぼす事になっても、知ったことか……。  真琴の顔が浮かぶ。    この時は、私の中で歯止めをかける存在の真琴がいたので実行する気はなかったのだけど…… この恐ろしい生物については真琴に話した。私が日に日に弱る様子を見て真琴は心配した。人から心配してもらうなど経験のなかった私はその理由もペラペラと話してしまった。  母のこと。  住みついてしまった生物のこと。  真琴は心配して自分の家に泊まるように進めてくれたが、私は御近所の人達がどれほど私の事を疎ましく思っているか知っていたし、私が真琴の家に泊まる事で真琴の家族に迷惑をかけるのがわかっていたから断った。    すると、真琴が私の家に行くと言った。……嬉しい申し出を私は受け入れた。  真琴が泊まりに来たその日、あの生物は闇から出ようとしていた。  まずい。    私の力が弱く闇の束縛も効かなくなってきたのか?   あの生物の意識は「ジュンキチ」ではなくなっていた。あの生物の思考を読むと、とても飢えて暴走している。  このままでは真琴が危険なので、私は心の声で必死に「ジュンキチ」を呼び続けた。しかし、真琴は私が止めるのも聞かず、あろうことか物置の扉を開けてしまった。  そして……  飢えたソイツは飛びかからんと待ち構えていた!!
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