真冬

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天井裏で私が哭いていると、新しい家族の父親が物置の扉を開けて私を見つけた。    しかし素早く扉を閉じて何も居ない、何も見ていない事にして去ってしまった。  私は思い出した。    私という存在を、誰もが疎んでいた事を。今、新しい家族の父親がしたように皆が私を最初から居なかった事にしていた。  私と話すと呪われる。  私と居ると恐ろしい。  私と関るとろくな事がない。  私は居ないほうがいい。  私は見えないほうがいい。  なら……。    おまえ達がそう思うなら……。    私も好きにさせてもらおう。    私は私の住みやすい世界で暮らす。私をいらない町の人間などいらない。私を裏切る友人などいらない。  私の犠牲となり、糧となり、私の世界から出ていけ。 私は私の欲しいものを手に入れ、復讐しつつ新しい世界を創る為に計画を練り始めた。  まずは私を捨てた母、渡辺深雪。  お前がターゲットだ。
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