真冬

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私は母をあの家に呼び寄せる事にした。その為には私が創り上げた闇へ引き込み、呪いをかけた。それぞれが深雪まで辿り着くように仕向けた。  まず美しい男、春海から。  本当は春海と話してみたい衝動にかられたが我慢した。深雪が戻ってくるよう仕掛けなければ計画が終わってしまう。  私は田中家まで暗闇を広げて真琴の家族も暗闇に引き込んだ……より絶望を与える為に、わざわざだ。 暗闇で呪いを与えた者達を、私がすべて闇から解放し、暫く待ち続けると……事態は好転した。  刑事が、精神病院にいる深雪と面会したのだ。  私の呪いは「深雪がこの家に戻るように呼びかける意識」を伝染するように働きかける。それに触れた深雪はすぐに戻ってきた。  私は興奮した。  あの生物も興奮した……とても飢えていたから。  深雪はあっという間にあの生物に呑み込まれ、新しい真冬の肉体が誕生した。 そして、私はたまたま居合わせた刑事に保護され、孤児院に連れて行かれた。
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