真冬

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ある日、私の通う中学校まで真琴が会いに来た。  大学生になり美しく成長した真琴……私には登れなかった階段を、真琴は時とともに駆け上がっていた。  私は誰も居ない校舎裏に案内して話しをした。  まず、真琴は私に私本人か聞いてきた。その時深雪は私の中で眠って貰っていたので私本人だと応えた。真琴が私の中に複数の意識が存在する事を知るのは時間の問題なので、確認された事に私は動じない。    しかし、真琴が本人確認したのは別の目的があったようだ。   「真冬、あの時逃げ出して…………」    真琴は後悔していた。    過去に私を置き去りにした事を謝ってきた。  今更、遅い。  もう私を止められない、誰にも。真琴を目の前にして始めて話した時の…蝶と戯れていたあの頃の記憶を思い出した。あの頃の気持ちも。私はどれだけ真琴を慕っていたか!  そして一瞬で私の心を砕いたのも真琴だ。  許す訳がない。  あなたに罰を与える。 「もう、いいよ真琴。不思議だろうけど中学生から新しい人生スタート。じゃね!」私はニッコリ笑って真琴を安心させる言葉を吐いた。  新しい人生は呪いを込めて、既にスタートしている。
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