真冬

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私は今、町で山狩りが行われている最中に夏希を捕らえ引きずり歩きながら山の中で高笑いしている……  もう直ぐ、もう直ぐだ……母を、あの生物を、町の虫螻共を、一掃して過去を消し去る……  そして私は新しく生まれ変わるのだ!! あっははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!  木の上から手首を縛った夏希を吊した。身体を冷やして弱らせるように、湖に下半身が浸かるように吊した。中途半端に元気で逃げられちゃあ困る。ここまで引きずりボロキレのようになっているから、まあ心配ないだろう。 私は夏希を吊し終わった後、山の中を見つからないように移動して山狩りに参加している春海を見つけた。私は秋葉の姿を利用して春海を山奥へおびき寄せた。春海は秋葉の姿に誘われ真っ直ぐ着いてくる。  やはり、この姿でなければ! 私は確信した。  町の連中が居ない山奥まで辿り着いた途端、深雪の意識と変わりもの凄い力で春海を襲い、犯した。私の母は獣のように春海を何度も貪った。見ている私も興奮で胸が高鳴る。母は満足すると恍惚とした表情で横たわる。  春海は気絶してしまっていた。  間もなく私の身体は子を宿し、すぐに産まれた。人の出産期間は当てはまらず細胞分裂のように、あっと言う間に素早く産まれた。私は産まれたての子の体液に呪いを込めた。そして、私自身となる新しい情報を子の中に入れた。  私の子は予定通り春海を呑んで眠ってしまった。私自身は子の中に入ってしまったので、意識が朦朧として眠りに入りつつある……私の以前の身体に残された深雪とあの生物は、春海になった子供を背負って予定通り湖に向かった。  私が吊しておいた夏希の血の匂いに誘われて。  私は朦朧とした意識の中、その後深雪とあの生物の断末魔を聞いた。暖かい炎が側にあるのを感じながら。  ざまあみろ、私は笑いながら眠った…………
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