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「わぁ~流れ星!それも凄い数。大型連休しょっぱなからラッキーです…」
二階の自室から、空にいくつも瞬く星を眺めた、真梨組子(まなしくみこ)は
喚声をあげ、その後すぐにため息をつく。両親は仕事の関係で海外に行っている。
正直、中学三年生のか弱い女の子一人残すものもどうかと思うが、ある意味では
安全が保証されまくったこの国の現状では間違った選択ではない。
窓を閉め、無人のリビングに下りる。
テレビは家庭団欒を理想とした父の要望もあって一台しかなく、
食事を食べるリビングまで行かなければならない。
そういった意味でパソコンも自室には無く、家族兼用といった徹底ぶりだ。
「二人とも家にいなければ意味ないじゃないですか…」
つい不満を口に出す。リモコンを操作し、夜のニュースを見る事にする。
映し出された映像には首都圏に出現した謎の巨大生物を覆面着用のヒーローと
変身系ヒロインと思われる集団が撃退し、
別のニュースでは建設中の巨大港湾で起きた事故の救出作業に、
最新型の人型ロボットが活躍した報道が流れていた。
「アハッ!凄―い、まるで漫画みたいな展開ですね!」
最近、“こーゆうニュース”が増えた気がする。
時代が可笑しいのか?それとも何かとんでもない事が始まるのか?正直何でもいい。
漫画、アニメ要素に関しては深い知識を有する彼女にとっては願ったりの出来事だ。
ただ問題なのは、そういった漫画的要素を含む出来事、
つまりは“華やかな非日常”に
“彼女自身全く関与できていない事”である。
「一体、何がいけないんでしょう。両親がいないとか、正にアニメで言えば、
お約束の訪問フラグだと思うんですけど。そう、例えばお家に居候宇宙人とか見習い魔女が訪ねてくるシチュエーションに直結できる筈だし、もちろんそれ全てに対応できる自信がありますよ…私!」
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