“異☆蝕☆銃”~押しかけシチュ兵隊版~

3/12
前へ
/12ページ
次へ
誰もいない空間に手を上げて、宣誓してみる。 自身が通う学校でも、友人達が塾帰りに魔法少女を見たとか、 ヒーローに救われたなんて話をよく聞く。 つまり、この小さな町にも確実にいるのだ。ただ、彼女が出会わないだけで… 残念この上ない。 そんな思案に暮れる組子の全身を突如、巨大な振動が襲う。 慌ててテーブルの下に隠れるも、期待で胸が弾む事を不定できない。 「地震じゃない。テレビでも速報出ていないし。スマホも鳴ってない。 これは多分何かが空から落ちてきた衝撃音! という事は ようやく私にも遭遇フラグですか! ワクワクしますね。」 組子の予想を裏付けるようにすぐに止まる振動。震源地は恐らく自宅の庭付近。 意気揚々と窓を開けた。爆弾が落ちたみたいに変形した庭には巨大な飛行機の 一部分と思われる残骸と、そこに佇む一人の兵士。 焼け焦げた迷彩服に身を包み、明らかに凶悪な面構えの兵隊が、 組子の視線に気づき、これまた邪悪な笑顔で咆哮を上げる。 「ウオオォォォ! こんにちわぁぁぁ! お・嬢さああぁぁん!! 」 彼女は迷わず窓を閉めた。   「もしもし警察ですか? 庭に不審なコマンド野郎がいるんですけど。 中学三年生の可愛い系少女が“あっ? 貞操の危機かも! ”なんて思っちゃう感じの! ですから、すぐに変身系ヒロインかスーパーヒーローを自宅まで!! もしもし? わかってるんですよ。貴方達、彼等と協定を結んでいるんでしょ? ネットでもたたかれてますし。とにかく、もしもし? 」 一気にまくしたてた電話の線が切られている事に気がつく。 「とりあえず、警察は勘弁してくだせぇよ! お嬢さぁぁん! 」 組子の背後から不気味な声が響く。 (いつの間に室内へ?) 考えている暇は無い。やるべき事は決まっている。コードレスの受話器を握りしめ、 振り向き様に、声のした方向に向かって勢いよく投げつけた。 スナップの効いた一撃は不審者の顔面を直撃し、豚のような悲鳴を上げさせる。 見れば、先程庭に立っていた兵隊が顔面を抑え、低いうなり声を上げながら蹲っていた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加