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「…最初から、仕事が溜まってる、とか、用事がある、って言っときゃ良かったんだよ」 「…通りますか?」 「…さぁ?部長の機嫌が良けりゃ通るんじゃねぇ?」 「…適当ですね」 「俺だって、出来れば上司の接待に貴重な土曜を潰したく無い!」 俺が不貞腐れて言うと、普段の笑顔で、ふふっと笑った鼠谷。正直、ホッとした。 「オレ、嫌われてるのは分かってますけど、やっぱり猫田さん好きですよ?」 「…言っとくが、俺にそっちの気は無いからな?」 食後のコーヒーを飲みながら時間が経つのを待っている。 まぁ、食後のコーヒーは、鼠谷が朝用に買ってきたやつだが。 「残念ながら、そっちの魅力は感じてませんのでご心配なく!オレ、女の子大好きですから!」 「…そうだろうな」 「ただ、猫田先輩は尊敬してます。仕事の出来るカッコいい人です!」 「…まぁ、ありがとう。あー、そうだ。今更だが、1つ訂正な」 「?はい」 「鼠谷、俺はお前を嫌ってるんじゃ無くて、苦手なだけだ」 「え!本当ですか?!」 目を丸くしてこっちを見詰めてくる。 「そんな驚くことか?」 「嫌ってないんですか?!」 「あぁ。何考えてるか分からなくて苦手だ」 「やった~!!嬉しいです!」 嬉しいという言葉通り、若干涙目な気がする。 …そんなにか? 「…話聞いてたか?好きじゃない、苦手なんだぞ?」 「嫌いじゃなければ大丈夫です!変えて行けます!」 「…お前、ポジティブだな」 「勉強出来なかった代わりに、ポジティブ思考を身につけたんです!」 「へぇ…」 それは良いことなのか? でも、テンションの上がった鼠谷を見ていると、まぁ良いかとも思えた。 震えてるよりはずっと良いだろ。
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