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放課後、学校を出ると人だかりが出来ていました。
あの桜に車が突っ込み、幹から割れて倒れたそうです。
車は引き上げられ、無惨な姿の桜だけがありました。
…あぁ、せっかく8分まで咲いたのに
と残念に思っていると、更に野次馬たちの声が聞こえました。
「挟まれた女の子は?」
「引っ張り出されたけど、即死だったらしい」
「可哀想に…」
「まだ中2でしょ…」
何だか嫌な予感がします。
その子は、微笑みながら良くその桜を見上げていたんです。
違うことを祈りながら、恐る恐る近付きました。
警察が居て、桜の木の真ん前には行けません。
テープギリギリから見ました。
どうしても、その女の子があの子じゃないっていう確証が欲しかったんです。
良く見ると、桜の木の下に血の跡がありました。
…!!
そこから動けなくなっていると、キラン、と桜の向こう側、斜面の茂みで何かが光りました。
…?
止める声を無視し、テープを超えて降りました。
光っていたのはストラップです。
困り眉が特徴の小さなひよこのストラップが、紐から千切れて落ちていました。
あの子が好きだと聞いて、オレがあげたものです。
その場でカバンに付けてくれた、あのストラップでした。
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