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とあるマンションの4階。
スーツ姿の2人組が、ある一室の玄関チャイムを押した。
中から男の声がした。
「はーい、今開けます。あっ、こないだの刑事さんじゃないですか」
出てきたのは30歳くらいの人のよさそうな男だった。
「何度もすみませんね、沢村さん」
「ニュースで見たんですがこの間の犯人、まだ捕まっていないんですか?」
「えぇお恥ずかしながら。それで何か思い出したことや変わったことがなかったか、こうして再度聞き込みをしています」
「2人も殺した犯人が野放しなんて怖いな・・・。でもこないだも話しましたが特に変わったことは何も。僕の仕事はデイトレーダーなんで、家にこもりがちなんです」
「確か、弟さんと2人暮らしでしたよね」
「えぇ弟は先月に越してきました。今ちょうどいますよ。おーい、純也」
やや間をおいて廊下の奥の部屋から、マスクをし、スエットの上にフリース素材のパーカーを着た青年が顔を出した。
「弟です。こないだはパチンコに行っていて不在でしたが、今日は見たとおり風邪を引いたんで家でおとなしくしています。慣れない都会遊びで疲労が溜まったんでしょう」
「はぁ。弟さんも何か最近変わったことはありませんでしたか」
青年は首は横に何度か振った。
「分かりました。ありがとうございます」
純也は軽く頭を下げ、また室内に戻っていた。
「失礼ですが、弟さんの職業は?」
「無職です。まったくいい身分ですよ。まぁ僕の所に住むなら家事ぐらいやらせますけどね。弟も事件ことは知っていますが特に変わったことは見ていないと言っていました」
「分かりました。どうもお時間ありがとうございます。何か思い出したらご連絡を」
「はい。お役に立てずすみません。早く犯人が捕まることを僕も願っています」
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