アンドロイドは博士と暮らす

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20XX・4・1・11・53・12。 識別番号AI・41――以下記録内では私、と呼称する――は起動した。 二つのカメラから認識されたパターンの中から、私の創造主である博士の姿を識別。 「おはようございます、博士」 言語プログラムに記述されていた通りに、私は発声した。 私の聴覚が認識したのは、中年の男性にカテゴライズされる声だった。 「おっと、音声設定が少し変だね。少し待っていてくれ」 博士がキーボードを操作し、私の音声作成プログラムの設定を変更した。音程とピッチが、元々博士の想定していた領域からずれており、それを想定の領域に直した。 「喋ってみてくれ」 博士の命令に従い、私は再び発声した。 「おはようございます、博士」 私の聴覚は、少女にカテゴライズされる声を認識した。 「よし、問題ないね。おはよう、アイ」 博士はそう言いながら、私の身体を抱き起こした。 「今日は君の誕生日だ。これから先、一緒に暮らすことになる、宜しくね」 博士はそう言って、笑みと呼ぶことの出来る表情を見せた。 笑みの意味と意図が不明。特殊なラベルをつけて記憶領域に保存。
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