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この初めての告白もやはり、自分で自分が抑えられない衝動に駆られてしまった結果なのだ。だから、言ってしまった後の後悔が半端なく、せっかく貰った、受諾をおきざりにして逃げるように帰って来てしまったのである。
莉奈の告白の相手は、時々下校時に同じ駅で会うだけの男の子。制服からは自分の高校でないのは分かっている。この駅を利用するもう一つの高校である。
どうしよう。どうしたら良いんだろう・・・。
また連絡しますとは言ったものの。彼の情報は何も知らない。せめて、メアドかSNSの交換をすれば良かった。そんな後悔に苛まれる莉奈。
このままでは、また次に偶然会うその時まで待つしかないのだ。いや、会うのは会えるだろう。今までだって、平均週2のペースでは会っている。いや、見掛けている。
本当は会える努力をして、無駄に駅に居るのだ。
問題は会った後に、声を掛ける勇気が再び湧いて来るかどうかだ。
向こうから話しかけて来てくれればいいんだけど・・・。
何て、悩んでいた莉奈であったが、偶然の巡り会わせと言うのは奇なるもので次の日の下校時に、しかも初めて駅に行く手前の道端で鉢合わせをしてしまう幸運に恵まれる。
「あっ」
「はっ」
「ど、どうも」
「こちらこそ」
良かった。天気が良くて、何となく遠回りしたのが吉に出た。莉奈がそう思ってたら、
「良かった。偶々、いつもと違う通って」
そんな独りごちる声が耳に入る。
そう、この道は、彼の高校から駅に向かうには少し遠回りである。それは自分にも当てはまっているのだから、まさに天のお導き。
早速、二人は同じ後悔をしない様に、まず名前を交換。
彼の名前は水井隆哉。南莉奈と同じ学年で高校2年生であった。
もちろん連絡先の交換も忘れない。万が一の為、現テクノロジーの利用し得る限りの連絡先を交換した。
交換するだけで終わったが・・・。
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