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「どこが間違ってる?」
「いやいや、そうじゃなくって。いくら会ったこともないっていっても、これは他人行儀すぎないかな? 一応は二年間も同居してたんだから、もう少し砕けてもいいんじゃない?」
「……そうか? でも、他人には変わりないからな」
「でも、ご飯作り置きしたり、掃除もほとんど進くんがやってあげてたんでしょ? 全くの他人ではないでしょ?」
確かに千依の言う通り、全くの他人だという認識ではない。だけど、それを素直に千依に言ってしまうと気を悪くするだろう、という考えだ。これだけ文面がお堅いのも、読まれた時のアピールのつもりだった。もちろんそのことも素直に言うことはない。
「なんかそういう加減って難しいよな。中途半端に砕けて変な文章になるより、最初から最後までがちがちの方が書きやすいんだよな……やっぱ書き直した方がいいかな?」
「う~ん。面倒くさいならいいんじゃないかな。空ちゃんも少しおかしく思うかもしれないけど、あまり気にしないよ」
千依がいいと言うのなら書き直す必要はない。
「そうか。ならいいや。千依これ見て。新しい部屋なんだけど……」
新しく借りる部屋の詳細のコピーを取り出して、千依に見せながら話し始める。早く次の部屋のことを考えたいという気持ちもあったけれど、それよりもこれ以上は空さんについて話したくなかった。
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