得てして生物は滅び行くのか

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 大学へ進学するために、地方から新幹線で二時間の都会へと引っ越してきた。人生初の一人暮らしは不安もあったけど何とかやっていけそうだ。と、思ったのもつかの間。俺には到底一人暮らしなどできないと、そう思わざるを得ない出来事があった。  それはこの六畳一間のおんぼろアパートに越してきてから数時間と経過してないうちに起こった。“アイツ”だ。荷物の隙間から“アイツ”が湧いて出てきたのだ。 ──ちきしょう、不動産屋め。アイツが出てくるなんて聞いてないぞ。引っ越し用段ボールの隙間からのぞかせている、黒光りした小さな身体。それだけならまだかわいげもあるが、アイツはなんとも小刻みな気色の悪い動きをして、今にも俺に向けて飛んでやるぞと羽をちらつかせ、恐怖心をあおってくる。  嫌悪感からとても記述することができないが、もう“アイツ”の正体はお分かりいただけただろう。     
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