得てして生物は滅び行くのか

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 俺は見知ったばかりのこの町で、何度もまいごになりながらやっと集会所にたどり着いた。白い漆喰のぬられた四階建ての大きな建物。隣の高層ビルに埋もれてはいるが、集会所の規模としてはかなりのものだ。一階は市役所の役割もになっていて、四階には図書館やカフェなども。施設にとってメインである集会所はその間の二つだった。  俺は入ってすぐ右にあるエレベーター横の階段を駆け上がり、二階にある受付カウンターの係のものに声をかけた。 「あの」息が弾んでるせいで言葉も途切れた。 「ど、どうなされました?」受付に座っている若いお姉さんは、十代の青年が突然はしってきて目の前でへばったもんだから困惑していた。  一度深呼吸をして、言葉をととのえる。とたん、頭が真っ白になった。 「えっと、僕、ここに用があって……」 「どんなご用件でしょう?」受付嬢は壁にぶつけたラジコンカーの軌道を修正するように言った。 「あの、家に“アイツ”が出たんです」 「アイツ?」受付嬢はおうむ返しに尋ねた。 「黒くて、すばしっこくて、背中に羽をかくした……」  俺がアイツの名称を言いかけるのを察知してか、受付嬢は俺の話をさえぎった。俺の額は冷や汗でびっしょりになっている。彼女の優しいこえが俺を救った。 「処理班を希望している、ということでよろしいですね?」     
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