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ご飯を食べ、パジャマから着替えた学は、部屋の中の鏡を見て姿を確認した。
「まあ問題ないだろ」
一人呟いて、彼は髪を梳かし、硝煙の香りの消えない部屋から出た。
部屋の外に出ると、彼はすぐ目の前に居た和服美人を見て、止まった。
長い髪をポニーテールにした彼女は、えんじ色の和服を着ていた。心なしか良い匂いもしていた。学は口をあんぐりと開けた。
「どうしました学様、何か見てはいけないものでも見ましたか」
和服美人は、桜だった。メイドくノ一暗殺者、と言う属性モリモリの彼女は、よくよく見ると美人だった。学はそれを今目の当たりにした。
「いや……何というか、今現実に気付いたというか、何というか」
「何ですか、それは。妄言ですか?」
「煩いな、早いとこ行こうぜ。映画に」
学は頭を掻きながら、家を出た。学のすぐ後ろを、音も無く桜がついていった。
「なあ、一つ聞いていいか」
街に出て、周りの視線を感じながら、学は桜の方を見た。
「何でございましょう」
「お前の私服、それしか無かったのか?」
「愚問ですね。忍者の私は、和装しか持ち合わせておりません」
「嘘つけ! メイド服着てM9をぶっ放したのは、どこのどいつだ!」
「あのメイド服は日本産です。何か問題でも?」
桜は涼しい顔で言った。
学は頭を抱えながら、道を歩いた。
そして二人は目的の映画館に向かうため、電車に乗った。人は少なく席は空いていたが、桜は座らず、一方学は座った。
二人はがたごとと、電車に揺られた。
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