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本棚に追加 昨日買ってきた食材を使って晩ご飯を作り、一緒に食べ、片付けを終えたタイミングで意を決してお兄さんに声をかけた。部屋にあったアロエクリームの容器をコロコロ転がして遊んでいたお兄さんが、振り返ってニコッと微笑む。お兄さんが笑うと、周りに花が咲いたような華やかさが生まれるのはなんでだろう。これがイケメンってやつか。
「ずっと気になってたんだけど」
「うん」
「あだ名、つけませんか」
「うん?」
急な提案に、よくわからないという顔をして首を傾げるお兄さん。そうだよね、お兄さんにしてみたら、急にどうしたの? って感じだよね。でもさ、一週間過ごしてみて思ったのだ。もしこの奇妙な同居生活がもうしばらく続くとして、この先もずっと「お兄さん」と呼んでいるのでは、少し寂しいな、と。初めは怖かったし得体が知れなかったけれど、一緒に過ごすうちに少し仲良くなれた気がする。だから、本当の名前はわからなくても、せめて二人の間で通じるあだ名くらい、あってもいいのではないか、と。
「ほら、お兄さん名前わからないでしょ? せめてニックネームくらいないと、呼びにくいなぁって」
「つけて、くれるのかい…?」
「あー…、実は、一つ考えてあって…」
「…!」
ずっと考えていたとはいえ、実際に提案してみると途端に恥ずかしい。俯きながら頭をかいて、ちらりとお兄さんに視線を向けると、きらっきらした目でこちらを真っ直ぐ見つめていた。
日頃の妄想力がこんなところで役に立ったようだ。お兄さんに合う名前を考えていたのは、いつもいろいろな妄想をしていた風呂の時間だった。
「どんな名前なんだい!?」
「……〝レイ〟は、どうでしょう」
「れい…」
これは某ロボットアニメのヒロインから取ったわけではなく、ちゃんとした理由がある。
一つは、お兄さんには今までの記憶も名前も一切なく、この家での生活はゼロからのスタートだった、という意味での『零』。
また、お兄さんの外見が素晴らしく美しいことから連想した『麗』。
そして、これはあまりにも安直であまり気に入っていないのだけれど、お兄さんが幽霊である可能性も捨てきれないという意味の『霊』。
あとは、お兄さんの美しい髪の色と目の色が、とても涼しげでわりと気に入っているので『冷』。

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